Huck the Ultimate Minimalist

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ミーがおもう究極のミニマリストってハックルベリィ・フィン。

ハックがトム・ソーヤーの冒険に登場したときはこんな描写だった:

ハックルベリーは気の向くまま、そこら中を行き来していた。

天気がよければそのへんの家の軒先で眠り、雨が降れば空の大樽に入って寝た。

学校にも教会にも行かなくてよかったし、誰を先生と呼ぶ必要も誰に従う義務もなかった。

いつでもどこでも好きなときに釣りに行ったり泳ぎに行ったりし、好きなだけそこに留まっていた。

誰にも喧嘩を禁じられず、いくらでも夜更かししていられたし、春になればいつも真っ先に裸足になり、秋が来て革を足にまとうのは一番最後だった。

顔を洗ったり、清潔な服を着たりもしなくていいし、汚い言葉も自由に使ってのける。

要するに、人生を尊いものにしてくれる何もかもを、この少年は持っている。

…ハックはほとんど何も持っていないのに、作者のマーク・トウェインは

「人生を尊いものにしてくれる何もかもを、この少年は持っている」

とのっけから書ききった。

トウェインは何も持っていないことが豊かだってことをわかってたんだよね。

1800年代にすでに。

物語の終盤、トムと一緒に大金をみつけたハックはお金持ちの未亡人にひきとられ

何不自由ない生活を送っていたのに、たったの3週間で逃げ出してしまう。

探しにきたトムにハックがいう言葉がまたふるってる:

いいかいトム、金持ちなんて世間で言うようないいもんじゃねぇって。

くよくよ気苦労ばっかり、だらだら汗かいてばっかりで、ああもうこんなんだったら死んじまいたいって思ってばかりさ。

俺にはこういう服が合ってるし、この樽が合ってるんだ。

もう二度とこういうのを捨てる気はないね。

トム、あの金さえなけりゃこんな七面倒臭いことにもならなかったんだよ。

だからさ、お前が俺の分も受け取ってくれよ、それで俺にはときどき十セントくれよ、そんなにしょっちゅうでなくていいからさ、手に入れるのに苦労しないものなんて持つ気しねえから。

ハックルベリィ・フィンは何も持っていないけれど

目の前に無限大に広がる自由気ままに生きていい人生がある。

そしてそれがいかに尊いものかもちゃんとわかってる。

やっぱりハック以上のミニマリストなんていない気がするな。

トムーソーヤーの冒険は柴田元幸さんの訳がいちばん好きです。

ハックルベリィ・フィンの冒険も翻訳してほしい。