Sweet 'n' Kind
おもいかえしてみると、ミーも若いころにいちどだけ
自分のあまりの無知ぶりに、これはいけないと
社会というものがどうやって成り立っているか
いま、世界でなにが起きているか、そんなことを
身近な友人に教えてもらおうと決心したことがあったのでした。
大学卒業後、遊びほうけていたミーと
おなじく大学卒業後(といってもこっちは東大)
大学院に進んで(これも東大)研究に没頭していたもとくんとは
妙に気が合って、ニューヨークと東京のお互いの家で
よくごはんをつくって食べていました。
なんでも気兼ねなく頼めるもとくんに、ある日
「社会のしくみとか社会情勢とかわかりやすくミーに教えてよ」
というと、お安い御用と引き受けてくれたのですが
優秀な家庭教師でもあったもとくんが
どんなにていねいに説明してくれてもちんぷんかんぷん。
もとくんも内心「こんなに出来の悪い生徒は初めてだ…」と
おもっていたにちがいありません。
数回で「もとくん、やっぱりミーだめだわ」と弱音をはくと
「お魚の3枚おろしは教えたらちゃんとできたのにね~」と
ふたりで笑ってそれっきりになりました。
無理なことは無理、わかんないことはわかんないんです。
そもそも興味がないからわからないんだとおもうのですが…。
でもまぁ無知でも無知なりに明るく楽しく。
そしてひとにはできるかぎりスウィートに親切に。
そうやって人生を生きてます。