Communication

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たしかにその地図はわかりにくかったかも知れない。

トゥクトゥクのドライヴァーのおじさんは

ミーの地図を見て、よしきた、ってかんじで走り出したけれど

気づいたら同じ道を行ったり来たりしていて

あ、お店がみつからないんだ!ってきづいた。

ミーはいま、おじさんの時間とガソリンを無駄にしてる

申し訳ないな…とおもっていると

いきなりおじさんが小さな路地に入っていって

公衆電話で電話をかけはじめた。

仲間かともだちか家族か、だれかに助けを求めてるみたい。

そのとき、おじさんが行ったり来たりしていた

あのお堀沿いのおおきな通りには

内側と外側、内堀と外堀があることをおもいだした。

あのわかりにくい地図のせいで

おじさんは外堀通りだとおもいこんでるけど

あんなに走ってもみつからなかったってことは

お店は内堀通りにあるんだ!

そうおもって、公衆電話からしょんぼり戻ってきたおじさんに

反対側の内側の通りにあるんだよ!っていいたかったけれど

そんなこと英語でいっても通じないから

ひとこと「インサイド」とだけいってみた。

「?」って顔のおじさん。

あぁ、やっぱりだめか。

っていうか、ミーがタイ語で「インサイド」っていえればよかったんだけど…

しかたなく、ミーもトゥクトゥクから降りて

「インサイド」をボディランゲージで伝えることにした。

ミーの身振り手振りの必死な様子をみて

おじさんも

「こいつはなにかを伝えようとしている」

とおもってくれたみたいで

じぃぃっと真面目な顔で

ミーの可笑しなパントマイムをみつめてくれた。

「インサイド」を伝えるのはなかなかむずかしかったけれど

空中に柵のようなものを描いて

それをハードルみたいに飛び越えてみせたりしていたら

おじさんが急に、はっ!とわかってくれた。

そしてにこっとわらってトゥクトゥクに飛び乗り

こんどは迷うことなくまっすぐにお店に送り届けてくれた。

やっぱりちゃんと伝わったんだ!

どんなささいなことでも、伝わるってうれしいな。

そんなふうにおもいながらこんがり焼けたチキンを頬張った。