Lioness
朝、部屋を出て、運がいいと管理人さんに会える。
ほわほわの髪の毛とがっしりとした体格のせいか
彼女は堂々とサヴァンナを歩くライオンみたいに見える。
おはようございま~す!とあいさつをして
たわいもないおしゃべりをする。
きまぐれな天気のこととか
どこの部屋にどんなひとが越してきたかとか。
数年前、ミーが理事会の会長をつとめたとき
駐車場の空きが埋まらなくて経済状況が悪化していて
苦渋の決断だったけれど管理人さんの勤務日数と時間を減らした。
ミーは遠くに住んでいる彼女が毎朝5時台に家を出て
うちに働きに来てくれてることを知ってたから
時間を減らすのは本当に申し訳なく、情けなかった。
往復4時間もかけてきてくれてるわけだから
こんなにも勤務時間を減らしてしまったら
辞めてしまうのも仕方ないと覚悟していた。
でも彼女は辞めないでくれた。
朝、彼女のほわほわの髪の毛が太陽の光を浴びて
たてがみみたいに輝いているのを見ると
「あ、いたいた、ライオン」と嬉しくなる。
そして、なんてことのないおしゃべりができることも。
ちょっとした愚痴が混じってたって。
たとえば廊下に何箱も段ボールを積み上げてる5階の住人のこととか。
「こんど、見にきてくださいよ~」って、うん、行く行く。