Being Who You Are
中学生のころ同級生にドラアグクイーン系の男の子がいて
とはいっても
にぎにぎしいお色のアイシャドウをまぶたの上に光らせてるくらいで
普通に男子用の制服を着て登校してたし
それよりなによりそれこそ存在しててごめんなさいってかんじで
細い弱々しい身体でいつも居心地悪そうにしてた。
いじめられてはいなかったけれど
だれもが彼のことを気持ち悪がって近寄らなかった。
ミーは彼となぜかウマが合って
校舎の端にあった石でできた冷たい冷たい階段の
屋上へと続くだれもこない場所にふたりで並んで座って
お昼休みによくおしゃべりをしてた。
そうやって近くにいると彼の消え入りそうな声もきちんと聞こえたし
時間をかけて完成させたに違いないメイクアップもよく見えた。
卒業式のその足で小田急線に飛び乗って新宿にむかって
二丁目デビューしちゃいそうだった彼。
そう、ちゃんと、自分の居場所がどこかほかの場所にあるってわかってた。
風が吹いたら飛ばされそうだったあの細い細い身体のなかに
強い芯がちゃんとあって、だれにも理解されない3年間をじっと耐えてた。
もうたぶん会ってもお互いがわからないかもしれないけれど
もしまた会えたら、彼がどんなに奇抜なで滑稽な姿をしていようとも
力いっぱい抱きしめたいとおもってる。