Citronella
こどものころ深く尊敬していた先生がいる。
しょっちゅうどなりつけられてて
いつもみんなびくびくしてて
それでも先生のことを憎んだことはなかった。
ずっとあとになにかのインタヴューで
「こどもたちが心配で、まばたきをすることもできなかった」
とおっしゃられているのを読んで
ミーたちはほんとうに大きな翼の下で守られてたんだなっておもった。
先生から学んだことはとても多い。
「お米の一粒一粒に感謝して食べろ」はよくいってたな~。
先生がいつもかならず、約束の時間よりもずっと前に
完璧に準備を済ませ、静かに待機していた姿をみてたから
ミーも自然とそうするようになった。
そして先生は蜘蛛を縁起のよい生きものだとおもってたんだけど
その蜘蛛がミーのアパートに出没するようになった。
先生、いくら縁起がいいっていったって
こんなにいっぱいぴょんぴょん飛びまわってるのは困るんですけど!
でもよ~く考えてみると、一昨年の夏、たくさん常備してた
ユーカリやティーツリーのエッセンシャルオイルたちをすべて使いきって
そのあとから、蜘蛛たちが以前に増して出没するようになった気がした。
ものはためしとチェンマイで買った虫除けスプレーをひっぱりだしてきて
家じゅうのカーテンに吹きかけてみた。
狭いアパートがシトロネラの匂いで充満しちゃってるけど我慢がまん。
蜘蛛たちが、今年はこの家、またやな匂いに戻ってるなって
どこかへ去っていってくれるとうれしい。