Trouble Boy and Skeleton in His Duffel Bag

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高校1年生のクリスマスイヴの夜

原宿の友人の家を出て駅に向かって歩いていると

自分も地下鉄で帰るからと大和が追いかけてきました。

裕福な家に育ち、有名校に通い

めいっぱい洒落のめして肩で風を切って歩き

いつだってすべてが自分のおもい通りになるかのようにふるまう

この大和という男の子がミーは少し苦手でした。

駅のベンチに並んで座ると

大和のあまりのやんちゃぶりに手を焼いた両親が

彼をイギリスの寄宿学校に入れる手続きをしているところ

と話してくれました。

勉強は不得意そうだったけれど

喧嘩だけはめちゃくちゃ強そうな男の子だったので

「大丈夫でしょ、大和だったら。どこに行っても」というと

足元のダッフルバッグから薄汚れた布のかたまりを取り出し

ミーの膝の上にぽいっとのせて

「それ、俺のたからもの」といいました。

よく見るとそれは英語の寄せ書きでびっしりと埋まったTシャツで

夏に放り込まれたアメリカのキャンプで一緒だった男の子たちが

別れ際に大和にプレゼントしてくれたものということでした。

「英語なんて全然しゃべれないけどどうにかなっちゃった」

「夏じゅう自然のなかでずっとこいつらと一緒で、すっげー楽しかった」

と屈託なく笑っていました。

すべてを簡単に手に入れられるかのように見えた大和だって

一番大切におもっているのはフレンドシップ

お金で買えないものなんだってわかって

そして自分がもう彼のことをちっとも苦手におもっていないことに気づいて

ミーにとってはそれがちいさなクリスマスプレゼントのようにかんじながら

あたたかい気持ちになって帰路に着きました。

それからず~っと月日が流れた今

誰かとあまりにも近くにいたら

確かに言葉なんてあまり重要じゃないのかもしれない

とおもうことがあります。